Good Example

Pick the Winner

アメリカ生まれのスーパーガール。イギリスのスーパーウーマン。

京都大賞典

 

京都大賞典シュヴァリエローズが勝ちました。

 

シュヴァリエローズ

ホープフルS皐月賞などに出走したダノンザキッドやエフフォーリアの世代です。

2000からマイルで脚がたまらずなど、ここまで紆余曲折ありましたが、3走前2200に伸ばした京都記念では勝ち馬プラダリアから0秒5差4着。2走前メトロポリタンSは初の2400を使い、前走目黒記念では2500の距離を先行しタイム差なしの2着。

ディープインパクトに母方がフランス系だとフィエールマンを思い出しますが、この組み合わせは「休み明け」と「長距離」が強い印象です。
今回の京都大賞典勝ちを含むと、シュヴァリエローズは7週以上の休み明けで[3-4-2-8]、距離2000以上なら[2-3-1-3]

 

母ヴィアンローズ Viane Roseは、2005年ノネット賞Prix de la Nonette(仏G3・芝2000)の勝ち馬で、2000前後の中距離で活躍していました。

母父セーヴルロゼSevres Roseは競走馬としては出走しておらず、種牡馬になって父としても目立った成績は見当たりませんでした。
しかし、上記のヴィアンローズやPenneを通じ、母父としてアジュールローズ、シュヴァリエローズ、Meandre(パリ大賞典(G1)、サンクルー大賞(G1)、ベルリン大賞(G1)、オイロパ賞(G1))、Mqse De Sevigne(ジャンロマネ賞(G1)、ロートシルト賞(G1)、イスパーン賞(G1)、ロートシルト賞(G1)、ジャンロマネ賞(G1))を出しています。

Sevres Roseの母Indian Roseは現役時代、1988年ヴェルメイユ賞Prix Vermeille(仏G1・芝12F)の優勝馬で、3代母Damasiはサクラローレルの4代母と同じです。

 

Sevres Rose

 

サクラローレル

 

毎日王冠

 

毎日王冠はシックスペンスが勝ちました。

 

シックスペンス

追い風を受けて一頭違う脚を見せたスプリングSが印象的だったシックスペンス。
母フィンレイズラッキーチャーム Finley'sluckycharmは、Danzig4×4。
フランス生まれの名手ルメール騎手の華麗なエスコートで、外枠にもかかわらずスタートでぽんっと出て外から先行し良い位置をとったところで勝負あり。ホウオウビスケッツのスローに落としたレースを好位から差し切りました。
ラスト400すぎの坂を他馬より力強く上って、伸ばした脚は見事です。
さすが好配合なクラシックのキズナマイラー系力強さのDanzigを取り込む形。そして、スローだとピッチ。

 

 

凱旋門賞

 

凱旋門賞はブルーストッキングBluestockingが勝ち、2着にアヴァンチュールAventureで、前走ヴェルメイユ賞のワンツー。
今年の凱旋門賞は、シルバーコレクターと呼ばれていた若き才女が4歳を迎え魅力的に成長し、現イギリス最強のスーパーウーマンらしさを見せつけた一戦でした。

 

Bluestocking

〇ブルーストッキングBLUESTOCKING
今回出走する馬の中では最も高いレーティング121。今シーズンがスタートしてから、3勝・2着1回・4着1回で大崩れなし。戦ってきたメンバーも強く、無理な穴狙いでなければ最上位の評価です。
前走ヴェルメイユ賞でも2番手先行から早めに抜け出し、追いすがるアヴァンチュールを退け押し切りました。ゲートの位置も良いので大きく負けることは考えにくいです。

昨年よりは重く(柔らかく)ても、良い状態に近いというのが今年のロンシャンの馬場。
シンエンペラーも前走の走りからいけると思いましたが、力んだかどうか脚がたまってない感じにみえました。

 

Bluestockingは、父Camelotの母TarfahがGraustark=His Majesty全きょうだいクロス5×4

 

Camelotの母Tarfah

Bluestockingの母EmulousはHis Majesty4×3なので、父父モンジュー Montjeu以外でGraustarkとHis Majestyを重ねてきているのが強さの秘密でしょう。


His Majestyと凱旋門賞といえば、ナカヤマフェスタの母ディアウィンクがHis Majesty2×4でした。

 

ナカヤマフェスタの母ディアウィンク

 

やはりこのGraustarkとHis Majestyというのは、長距離を走り抜くスタミナ、逆境(道悪)で強く走る力が必要な時に、ものすごく後押ししてくれる印象です。

 

たとえば、Graustarkのクロスはタニノギムレットがいて、そこにフェアリードール牝系(父Nureyev)には重馬場を得意としたメドウラーク。
さらにGraustarkのクロスは、菊花賞スリーロールス菊花賞史上最も時計のかかった17年不良馬場でのクリンチャー。
His Majestyの直系にはPleasant ColonyPleasant Tapを通じ、重馬場のジャパンカップで逃げて2着に1秒5差をつけ優勝したタップダンスシチー

 

このあたりを観ると、なんとなくどういったレースで強い、力を発揮しているかが想像できます。

 

2着Aventureは、父Sea The Starsもその母Urban Sea凱旋門賞馬。
母はさかのぼれば、グルームダンサー Groom Dancer、ヴェールタマンドVert Amande、キンシャサノキセキデインドリーム Danedreamなどがおり、さきほど書いたSevres Roseの牝系と同じで6代母がDamasiです。

 

Aventure

 

Aventureの母Balladeuse

さきほどサクラローレルのこともさらっとふれましたが、このあたりはフランスで強いと前から注目していました。今一歩及ばずだったのは、GraustarkとHis Majestyへの冒険が少し足りなかったのかもしれません。

 

個人的に今注目しているゴドルフィンのアオモリシティAomori Cityもこの牝系です。

 

Aomori City

 

3着のロスアンゼルスLos AngelesもKingmamboデインヒル Danehillを主張した相似配合。

 

Los Angeles

牝系はさかのぼれば4代母がドイツのシュレンダーハンのAラインAllegrettaですが、全体としてこちらもGraustarkとHis Majestyが重なる配合です。

 

名配合を常に支えた元祖スーパーガールFlower Bowlの影響を今でも感じることができる凱旋門賞でした。

 

GraustarkとHis Majestyの母Flower Bowl



 

第103回凱旋門賞

18時現在、わたしが見ている限りの情報では、ロンシャンの馬場状態はペネトロメーター3.5( Souple=重)

 

 

 

参考までに、2017年エネイブルが優勝した時が「重馬場Souple3.6(柔らかい)」


本日は少し雨が降る予報なのでやはり重め(柔らかい)であると考えます。


ちなみに、エースインパクトが勝った昨年は「稍重bon souple,3.3(良い・柔らかい)」、2022年アルピニスタが勝った一昨年は「重馬場très souple,3.9(とても柔らかい)」

 

今回、枠順を見て本命は決まっていました。

 

◎ザラケムZARAKEM

まず馬場状態ですが、4走前のアルクール賞(不良Heavy,Lourd,4.6~5.0)で勝ち切っていることから問題はないでしょう。
近4走をみていると、馬群に入れるか前に馬を置かないと行きたがっているように見えるので、ガネー賞8着(外から先行し並びかけ早め先頭でかわされる)、英インターナショナルS11着(馬群の外追走でずっと外のまま脚たまらず)の結果だったと思います。オーギュストロダンの2着だったプリンスオブウェールズSでは、道中インでため直線もインを抜けてきました。
凱旋門賞デーなので今年も例外なくオープンストレッチが設けられており、1枠で内枠の本馬にとっては追い風で、プリンスオブウェールズSの再現もあり得ます。

 

オープンストレッチ
オープンストレッチはイギリスや南アフリカの一部競馬場でも導入されている仮柵で、直線の入り口あたりでインコースに走路を生み出すことにより馬群を横に広げてバラけさせ、出走各馬の進路をスムーズに確保する狙いがある。
これにより後方待機勢の馬たちも力を発揮しやすくなり、従来のレース展開が大きく変化。各馬がのびのび走れるようになって、よりフェアなレースが繰り広げられるようになった。オープンストレッチは開催により使用する日としない日がある。

 

www.jra.go.jp

 

〇ブルーストッキングBLUESTOCKING
今回出走する馬の中では最も高いレーティング121。今シーズンがスタートしてから、3勝・2着1回・4着1回で大崩れなし。戦ってきたメンバーも強く、無理な穴狙いでなければ最上位の評価です。
前走ヴェルメイユ賞でも2番手先行から早めに抜け出し、追いすがるアヴァンチュールを退け押し切りました。ゲートの位置も良いので大きく負けることは考えにくいです。

 

▲ルックドゥヴェガLOOK DE VEGA
陣営が「馬体が太かった」というコメントを発表しているように、仏ダービーの時のシュッとした腹回りに比べ、前走のニエル賞ではややぼてっとした感じで走りも重そうに見えました。実際にダービーでは、今回1番人気想定のソジーSosieや英インターナショナルS3着のゴーストライターGhostwriter相手に勝ち切っているので、力はあると思います。今回人気を落とすなら買いでしょう。
※(コメントを知ったから、そう見ているだけかも)
※(ダービーは重馬場。ゴーストライターは良馬場がいいと陣営が言っていた)

 

このあたりを中心に、馬券は手広くいってみましょう。

 


ファンタスティックムーン
内枠だからケアしたい

 

アヴァンチュール
6代母Damasiあたりからくるサクラローレルっぽさ

 

ジー
人気でもやはり強いか

 

ロスアンゼルス
愛ダービー馬の意地。前走よりタフな馬場は条件好転

 

マルキーズドゥセヴィニエ
2400を使っていないのは昨年エースインパクトも同じ。やはり地元で強い馬はチェック

 

シンエンペラー
全兄ソットサスは愛チャンピオンS4着→凱旋門賞1着で、シンエンペラーもローテーション的にはばっちりですね。
前走愛チャンピオンSで直線最後の伸びを見たとき、「これは12Fならいけるんじゃないか」と思いました。3歳が強い凱旋門賞で56.5㎏ですから、チャンスは十分。

 

 

馬券は穴狙いですが、シンエンペラー1着ももちろん買います。

アグネスワールドとDanzig

わたしが大好きなアグネスワールドについては前回の記事で触れましたが、とにかくスピードとパワーが魅力の馬でした。

 

wrelic-ethirty.hatenablog.com

 

かつて芝1200を1:06.5の日本レコードで走破したアグネスワールドは、その溢れるスピードに恵まれた一方でコーナーワークが不得意だと言われました。
日本国内のG1を勝つことはありませんでしたが、海外の直線レースではその類まれなるスピードとパワーを存分に発揮し

と、大活躍しました。

 

2021年7月3日に記録が塗り替えられるまで、およそ22年間にわたり芝1200の日本レコードだったのは、1999年7月17日小倉競馬場で開催された雨の北九州短距離Sで、アグネスワールド(57.0㎏)が記録した1:06.5。

 

アグネスワールド

 

ここで注目したいのは、今回の主役Danzigです。

 

前回の記事でとりあげたのはカルストンライトオと千直ですが、2001年の第1回アイビスサマーダッシュは、1着メジロダーリング(父Green DesertDanzig)、2着シンボリスウォード(父Green Desert)、3着カルストンライトオでした。

 

また、先日亡くなったマグナーテンは芝1400を日本レコード1:19.0で走っており、その父はDanzigでした。

 

マグナーテン


マグナーテンが日本レコードを記録したのは、2002年7月14日新潟競馬場で開催されたNSTオープンですが、このレースでタイム差なしの1:19.0で2着だった馬がブレイクタイム。

 

ブレイクタイム


このブレイクタイムは次走アイビスサマーダッシュに出走しており、そこで54.0秒の2着。勝ったのは53.7秒でカルストンライトオ
つまりブレイクタイムは、芝1000、芝1400の日本レコードを記録したレースでどちらも2着だったんですね。

 

コース改修や馬場改修について詳しい情報を集めていないのではっきりとは言えませんが、改修後の時期である小倉と新潟で日本レコードということは、もしかしたら芝張替や開催が進んで馬場が締まってきたことも関係あるのかもしれません。

 

とはいえ、短距離日本レコードを出した馬たちの父がDanzigだったということは非常に興味深いです。

 

 

Danzigはどんな馬だったのか?

そもそもDanzigはどんな馬だったのでしょう。

 

Danzigの体の大きさは約160㎝で小柄でがっしりとした体型。馬体面だけでなく気性面でも父Northern Dancerにとてもよく似ていたそうです。

Danzigの競争成績は3銭3勝で、距離は5.5F、6F、7Fのレースで勝利しました。どのレースでも先手をとり直線では相手を突き放すスピードと力強さあふれるレースぶりでしたが、残念ながら脚部不安(骨折?)で競走馬としての活躍はできませんでした。


しかし、種牡馬としての活躍はごらんの通りで、少し前の記事ですが2008年時点でDanzig産駒の重賞勝ち馬は200頭。これは、Danehill産駒の349頭、Sadler’s Wells産駒の298頭に次いで歴代3位の成績といわれていました。

 

https://www.bloodhorse.com/horse-racing/articles/152937/danzig-sires-200th-stakes-winner

 

Coolmore Studで供用されていたDanehillSadler’s Wellsの上位2頭とはずいぶん差があります。しかし、Coolmore Studの2頭はいわゆるシャトル供用だったため1年間に200頭を超える牝馬と交配することを可能とした一方、DanzigはClaiborneのやり方に則り年間で交配した牝馬の数は最大でも75頭、数の違いを考慮すればその種牡馬成績は素晴らしいものがあると思います。Claiborneのやり方というのは、結果として種牡馬としてのキャリアを長く全うさせるために大きく影響したといわれています。

 

https://www.bloodhorse.com/horse-racing/articles/250734/danzigs-influence-still-felt-at-highest-level

 

5代血統表内では遠ざかっていくとはいえ、2021年時点で書かれているように、まだまだ存在感としては大きいですね。

 

 

血統表で母方を深堀り

 

Danzig

Danzig自身は、Pharos=Fairway全きょうだいクロス4×5、父は言わずと知れた大種牡馬Northern Dancer、母Pas de Nomは父母をまたいだクロスはありません。

 

Admiral's Voyage

 

母父Admiral's Voyageは、Sir Gallahad=Bull Dog3・4、Man o'War4×5、Selene5・5、Peter Pan5×5
このあたりは、前回の記事で書いたSir Gallahad=Bull DogとMan o'War・Domino・Sundridgeにつながるものがあります。

Bull Dog≒Sir GallahadとDominoとSundridgeの組み合わせはRomanと似ています

おそらく短距離でも活躍できたスピードとパワーというのはこのあたりが有力とみます。
このAdmiral's Voyageというのは、短距離でもクラシックレースでも活躍した馬でした。種牡馬としては期待されるような成績をおさめることができませんでしたが、Danzigを通じ母父として名を残しています。


それを除いて考えると、母父Admiral's VoyageでポイントになってくるのがHeliopolisでしょう。

 

Heliopolis

Hyperionは20世紀前半の英国を代表する競走馬であり種牡馬で、現役時代は英ダービー(芝12F)、英セントレジャー(芝14F110y,over…およそ2900m)で優勝しました。種牡馬としては、スタミナや底力(抜かせぬ強さ、大舞台で発揮できる力とでもいいましょうか)を伝えています。
母父Swynford英セントレジャー勝ち馬で、Hyperionと同じくらいの距離適性があった馬です。
つまり、Heliopolisという血は英国のスタミナや底力が豊富とみることができます。

 

そして、Danzigの母母PetitionerはSon-in-LawやTraceryといった長距離やクラシックで活躍したステイヤー寄りの血統がクロスされています。

 

Petitioner

そして、父父Fair Trialの部分では前回の記事で注目したLady Josephineがいます。
(父がSundridgeで母父Americusなので、SundridgeとDominoの掛け合わせと考えることができる)

 

そうすると、Danzigの母父Admiral's Voyageと母母Petitionerで父Northern Dancerの血脈を満遍なくおさえることができます。

 

Northern Dancer

 

たとえば、Northern Dancerの父母Lady Angelaは、Hyperion・Tracery・Swynford
そう考えると、Danzigノーザンテーストは似ている部分があるのかもしれません

 

ノーザンテーストの母Lady Victoria

 

話を戻すと、Danzigが大種牡馬Northern Dancerに最も似ているといわれるのは、総合的にNorthern Dancerを受け継いでいるからであり、そのなかで増幅されているどの血脈を掘るかということで、Danzigはスピード、スタミナ、パワーの寄り方に多様性を生み出すことができ、時代を経ても強い影響力を及ぼす偉大な種牡馬になることができているといえます。

 

 

アグネスワールドを紐解く

 

日本レコードを記録した2頭の共通点は、父がDanzigLyphard経由のNorthern Dancerクロスをもっています。

Lyphardの母Goofedはシーキングザパールの3代母でもあり、父父がFair TrialなのでLady Josephineがポイントになってくると思います。それは、Goofedの父Court Martialで一番影響力があるのは、Sainfoin=Sierra全きょうだいクロス5・5×4なので、Sundridgeが強調されることにつながっているからです。

 

Goofed

 

Court Martial

本当はGoofedの母父FormorがBasse Terre3×3で調べたかったのですが、情報が見つからなかったため、ここでは触れずにいきます。

 

アグネスワールドの場合、4代母GentlyがLady Josephine5×6・5の3/4Lady Josephineで、3代母父Gyrで緩和、母母父Lyphardで増幅、母父Seattle Slew(の母My Charmer)でパワーを増幅、父Danzig(Pharos=Fairway)でFair Trial(母母Lady Josephine)を増幅にみえます
Danzigのスピードとパワーを、代々重ねてきたFair Trialが強烈に後押ししていると言い換えることができると思います。

 

芝1400の日本レコードをもつマグナーテンの場合は、母母父ProminerのHyperion3×3が効いていると考えられます


たとえば、母方にLyphardをもつDanzig産駒はアグネスワールドマグナーテンステキシンスケクンがいます。
2006年の京王杯AHを勝ったステキシンスケクンは、3代母父ハイハットHyperion×Donatello)なのでHyperionをクロスしています。

 

ステキシンスケクン

活躍した距離が1200からマイルまでもったということは、おそらく英国のスタミナと底力であるHyperionの影響が強いとみます。

 

なので、マグナーテンが1400で日本レコードを出した後も、マイルの関屋記念、1800の毎日王冠、2200のAJCCと距離を伸ばして活躍できたのは、Hyperionの影響力が強いからと考えることができます。

 

 

はやさに共通する血脈はおそらくここじゃないかと狙いを定めて掘り下げて3つの記事を書きました。
ピンポイントでおさえているということは、同時に視野は狭いということになりますが、現代に繋がるはやさと力の源については、ほかのアプローチも含めこれからも調べていきたいと思います。

 

 

まもなくスプリンターズSですね

どんなスプリンターがでてくるのか楽しみで仕方ありません。

 

 

スプリンター。そのはやさを探る。

先日の記事に続き、今回はスプリンターのダッシュ力(パワー)を探ってみました。

 

 

 

速さゆえに

かつて芝1200を1:06.5の日本レコードで走破したアグネスワールドは、その溢れるスピードに恵まれた一方でコーナーワークが不得意だと言われました。
日本国内のG1を勝つことはありませんでしたが、海外の直線レースではその類まれなるスピードとパワーを存分に発揮し

と、大活躍しました。

特にJuly Cup Stakesは、優勝馬の多くがヨーロッパのチャンピオンスプリンター(カルティエ賞の最優秀スプリンター)に認められるような非常に価値の高い短距離戦でした。

※初代王者に19世紀のイギリス最強スプリンターと名高いスプリングフィールドSpringfieldがいます。
さらに、そのSpringfieldを母父として、July Cup Stakesを3連覇した20世紀の名スプリンターサンドリッジ
Sundridgeなど。Sundridgeはスピードの源として名高いレディジョセフィン Lady Josephine の父でもあります。


そのアグネスワールドが引退した翌年。
新潟競馬場のコース改修が行われた際に、中央競馬で唯一となる芝直線重賞競走「アイビスサマーダッシュ」が始まりました。2001年のことです。

 

53.7秒

これまでアイビスサマーダッシュで優勝した馬は


モズメイメイ、オールアットワンス、ビリーバー、ジョーカナチャン、ライオンボス、ダイメイプリンセス、ラインミーティアベルカントセイコーライコウハクサンムーンパドトロワエーシンヴァーゴウ、ケイティラヴ、カノヤザクラサンアディユサチノスイーティーテイエムチュラサンカルストンライトオ、イルバチオ、メジロダーリング

 

快速馬といえば、新潟芝1000(直線)を、53.7秒で駆け抜けたカルストンライトオがいます。
これは2024年現在でも破られていない日本レコードタイムで、ラスト1Fは12.1秒かかっていますが、9.8秒、9.6秒と9秒台のラップを2回記録したのはカルストンライトオだけです。当時の開催が連続開催の6週目だったことを考えれば、相当な走りだったことでしょう。

12.0 - 9.8 - 10.2 - 9.6 - 12.1
12.0 - 21.8 - 32.0 - 41.6 - 53.7

 

 

スプリントで躍動する血統の共通点

 

カルストンライトオ

カルストンライトオ
父ウォーニング Warning
母オオシマルチア
母父クリスタルグリッターズ Crystal Glitters

カルストンライトオは、In Reality(War Relic3×3)の直系、3代母ネバージョオーがWar Admiral4×3なので、がっしりとしたパワーが持ち味だったと思うのです。そのパワーに足してNasrullahのはやさがあった。そういう見方もできると思います。

 

War Relic

 

War Admiral

新潟千直はダート短距離を走っていた馬も馬券的には狙えるわけですが、それは「ダートスプリント戦でダッシュできるパワー」を狙うことができるということだと思います。

 

カルストンライトオの血統表をこまかくして考えてみます。

 

本馬は、Native Dancer5×4
父 Warningは、War Relic5・5、Bull Lea5×5
母オオシマルチアは、Nasrullah4・5×5
母父クリスタルグリッターズ は、Nasrullah3×4、Bull Dog5×4・5

 

父と母をみてみると、Tom Fool≒Spring Run、Royal Charger≒Nasrullah、War RelicとWar Admiral(Man o'War)、そして5代血統表では見えませんが随所でBull Dog≒Sir GallahadDominoSundridgeという部分が似ています。

 

Warning

 

 

オオシマルチア

 

まず、Bull Dog≒Sir GallahadとDominoとSundridgeの組み合わせはRomanと似ています。

 

Roman

 

そして、父 Warningの母父がRobertoなので、Robertoの母BramaleaMr. Prospectorの母Gold DiggerNashua・Bull Dog・Blue Larkspur)
このBlue LarkspurというのはDominoとSundridgeですから、ここでもBull Dog(≒Sir Gallahad)とDominoとSundridgeが共通しています

Robertoは、父Hail to Reason、父父Turn-toなので、Turn-toの母父Admiral Drake≒Roman(Plucky Liege・Sunstar・Maid of the Mist)も成り立つでしょう

 

Robertoの母Bramalea

 

Mr.Prospectorの母Gold Digger

 

父 Warningの母母父がRaise a Nativeなので、すべてを足すと

 

そうすると、Seeking the Goldの大部分をおさえることになります。

 

 

最高マイラーに土をつけた父Seeking the Goldのワンツー

 

 

Seeking the Gold

Seeking the Goldは、Dwyer Stakes(米G1・D1800)、Super Derby(米G1・D2000)…1着。Haskell Stakes(米G1・D1800)、Travers Stakes(米G1・D2000)、Breeders' Cup Classic(米G1・D2000)、Metropolitan Handicap(米G1・D1600)…2着。マイルから中距離で活躍した馬でした。
日本では、シーキングザパールマイネルラヴゴールドティアラシーキングザベストロードアルティマレディブロンドなどの父にあたります。
自身はマイル以上の距離2000前後でも強い走りでしたが、仔らのほとんどはマイル以下の成績が優れており、牝馬の方が活躍していました。


3代以内にSeeking the Goldをもつ馬を調べると、牡馬はダート1700~2000と芝1000、牝馬は芝1000~1500の成績が良いです。

シーキングザパールは日本調教馬として初めて海外G1制覇をした馬ですが、そのときに勝ったレースはモーリス・ド・ゲスト賞Prix Maurice de Gheest(仏G1・芝1300)
同じ父Seeking the Goldマイネルラヴとワンツーを決めたレースは、最高のマイラータイキシャトルの引退レースになったスプリンターズS(芝1200)
レイデオロの母母レディブロンドは、体質の関係で遅めデビューした馬で、競争生活はわずか4か月。未出走の5歳牝馬から芝1200で5連勝し、ラストランはスプリンターズSの4着。
カルストンライトオが逃げ切りを決めたG1もスプリンターズSでした。

 

過去5年以内のアイビスサマーダッシュで、Seeking the Goldの血を引く3着以内の馬は、オールアットワンス、ビリーバー、ライオンボスの3頭。

今はSeeking the Goldを例にあげましたが、Seeking the Goldでなければならないわけではなく、わかりやすさから例としました。
つまりここまで探ってきた血統は、スプリントで躍動する共通点といっていいかもしれません。

 

 

フォーティナイナーの強み

 

ほかでは例えば、ダノンヨーヨーフォーティナイナーの影響が強い走りだったそうで、望田潤さんのブログでは2010年の富士Sを例にあげていましたが、たしかにラスト400から200すぎの区間はものすごい加速で駆け抜けています。
つまりこのぐんぐんと太く短くパワーを出し切るのがフォーティナイナー(母父Tom Rolfe)最大の強み。

 

フォーティナイナーForty Niner

 

フォーティナイナー自身はNasrullah4×4ですが、母父Tom Rolfeの母PocahontasBuchan3×5

 

Pocahontas

Buchanは父父Sundridgeですから、Tom Rolfeフォーティナイナーの爆発的なダッシュ力に強く影響を及ぼしていると考えられます。

 

 

前回の記事と合わせて考えます

 

前回の記事では

 

スプリントで強力な血というのは、Mr. ProspectorNijinskyBuckpasserSecretariat。このあたりになるでしょう。

 

と、書きました。

 

Nijinskyの母Flaming Pageは、Bull Dog≒Sir GallahadとUltimus(―Commando―Domino)とBlue Larkspur(Domino・Sundridge)の組み合わせですから、ここもRomanの血をおさえることにつながります。

 

Flaming Page

同じくBuckpasserもFlaming Pageと共通した血が多いため、Buckpasser≒Flaming Page(Menow・Bull Dog=Sir Gallahad・Blue Larkspur・Man o' War)

 

 

Buckpasser

 

では、Mr. ProspectorSecretariatはどうなのか。
Mr. Prospectorは、さきほどBramalea≒Gold Diggerで書いたので、Secretariatをみていきます。

 

Secretariat

 

Secretariatの母母父CarusoはSundridgeとDominoの血を含んでおり、父Bold Rulerの母母Outdoneとは、Polymelus・Sundridge(Amphion・Springfield)・Disguise(Domino)・Isinglass(Isonomy)・Plebeian・Galopin・Bend Orなどが共通しており、Secretariat自身は5代血統表にクロスをもちませんが、この場合はOutdone≒Caruso3×3としてもよいかもしれません。


そして、Nasrullahの3代母Lady Josephine

 

Lady Josephine

父は何度も出てきているSundridgeですが、ポイントは母父AmericusNorfolkThe Nun全きょうだいクロス2×2です

 

Americus

このLexingtonGlencoeの組み合わせはDominoに似ています

 

Domino

Dominoは、父父AlarmのラインだけLexingtonをもたず(1/4異系)、3/4Lexingtonで成り立っていると解釈ができます

 

Dominoの母母Lizzie G.をみてみると

 

Lizzie G.

War DanceLecomte1×2、ReelJudith2×3・3
Lexington(―Boston)とGlencoeを代々重ねてきていることが読み取れます

 

 

話をLady Josephineに戻すと、つまりLady JosephineのスピードというのはSundridgeとDominoの掛け合わせと考えることができます
すべてを合わせると、Secretariatが伝えるスプリントのはやさは、CarusoとOutdoneとLady Josephine

 

どの血も直系ではなく母方に回ってそのスピード感を伝えるのは、前回少しだけ触れたように母系でのみ受け継がれるとされるミトコンドリアDNAが理由でしょう。
ニアリークロスや全きょうだいクロスなどの近親交配が大きな意味をもつのは、違う仔を通じて母の遺伝子がまた巡り合うからといえます

 

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今回のキーとなった馬たち

Roman

Romanの父はSir Gallahadでその代表産駒といえば史上2頭目の米国三冠馬といわれるGallant Foxですが、種牡馬として後世に与えた影響はここまで書いてきたように、Romanも影響力が強いといえるでしょう。
がっしりとした体格、太い胴と筋肉のついた尻で、前脚が少し外方向へ曲がっていたことが馬体としての特徴で体格はしっかりスプリンター。
レースも40戦ほど走り、8Fまで走っていたそうですが最も走れたのは6Fでした。

 

SundridgeとMan o'Warの母父Rock Sand

Sundridgeの母SierraはRock Sandの父Sainfoinと全きょうだいです。

 

Sundridge

 

Rock Sand


Sundridgeの父AmphionとRock Sandの母Roquebruneを見比べると、Vedette・Hermit・Rataplan=Stockwell≒King Tomなどが共通しており、Suicide≒St. Margueriteとみることができます。
この時代の血統構成なので、同じ種牡馬や母馬がいくつも重なるのは珍しくありませんが、当時実績があった優秀な馬同士(血統)が、父×母という直接的な配合だけでなく、違う仔が巡って掛け合わさることは、直接的なインブリードよりも価値があるとみたいですね

 

Rough Shodから世界レコードまで

はやい(早い・速い)血には何か共通点があるのではないかと調べ始めました。

芝6F(1200m)の世界レコードは、2017年6月10日アメリカニューヨーク州のベルモントパークで開催されたJaipur Invitational Stakes (G3)で、Disco Partner(55.5㎏)が記録した1:05.67

現在の日本レコードは、2022年7月3日小倉競馬場で開催されたCBC賞(G3)で、テイエムスパーダ(48.0㎏)が記録した1:05.8
テイエムスパーダの前は、2021年7月4日小倉競馬場で開催されたCBC賞で、ファストフォース(52.0㎏)1:06.0。
その前日には、同じ小倉競馬場で天候が小雨の戸畑特別で、プリモダルク(55.0㎏)1:06.4でレコードを更新していました。
さらにその前は1999年までさかのぼり、1999年7月17日小倉競馬場で開催された雨の北九州短距離Sで、アグネスワールド(57.0㎏)1:06.5。
芝1200の日本レコードは小倉で更新され続けてきました。
ここに迫る記録としては、2022年9月11日中京競馬場で開催されたセントウルSで、メイケイエール1:06.2があります。

 

 

Disco Partner

 

Disco Partnerの配合で気になるところは、MoccasinThong全きょうだいクロス4×5

 

Moccasin

Thong

さらに、父Disco Ricoの母Round It Offは、MoccasinRidan全きょうだいクロス2×4

 

Round It Off

Nasrullah×Rough Shodは、BlenheimDalmaryBlandford、Goody Two-Shoes、St. Simon、Martagon≒Kendal、Hermit)などが共通しています。

 

Blenheim

 

 

Dalmary

 

 

Blenheimの母Malva

 

Dalmaryの母Simon's Shoes

 

つまりDisco Partnerは、Nantallah(Nasrullah)×Rough Shodがそれぞれ違う仔を通じて繰り返されているのがポイントです。

このRough Shodの配合については、著名なpedigree analystであるAlan Porter氏の記事で「mitochondrial haplotype D1b」に触れて書いてありました。

 

Whether from Gladiateur, or from another source, Blandford, in the way that some modern humans have neaderthal dna, must have carried the nuclear dna that was optimal for the D1b maternal line,
thus when Blandford recombined with it there was something of a genetic explosion. It’s probable that some kind unique genetic affinity also explains why, even when not crossed back over D1b mares, genetic relatives from the family, such as Sadler’s Wells, Fairy King, Nureyev, Perugino and Yeats, have done so well in combination.

 

www.stallions.com.au

 

 

 

 

 

NasrullahとRough Shodの組み合わせ

 

Nasrullah×Rough Shodを何度か重ね、Northern Dancerをクロスしていた馬といえば、エルコンドルパサーが思い出されます。

 

エルコンドルパサー

 

今年アメリカで活躍中の、ケンタッキーオークスを制して勢いに乗るThorpedo Annaも、Sadler's Wells・Lear Fan・Stormy Atlanticのラインで、ThongLt. StevensMoccasinをクロスしています。

 

Thorpedo Anna

 

Lear Fan

 

Stormy Atlantic

 

シラユキヒメ牝系の中でも、母方においてNureyevとTopsiderのニアリークロス(NasrullahとRough Shodの組み合わせ)が成り立つ例はブチコがおり、その仔らソダシコースレコードホルダー)とママコチャ(芝1400日本レコードタイ)は、ともにレコードホルダーです。

 

ブチコ

 

Topsider

 

そして、1:06.2で駆け抜けたメイケイエールも、サンデーサイレンスDanehillを後押しするようにNureyevとTopsiderのニアリークロスが成り立っています。

 

メイケイエール

 

これらの馬たちのはやさと強さに関しても、「Nantallah(Nasrullah)×Rough Shod」の組み合わせから生まれたRidanLt. StevensMoccasinThongらを通じて、遺伝子の揺り戻しが叶ったことで際立つものになったということなのでしょう。

 

 

 

サンデーサイレンスの血

芝1200の世界レコードや、小倉で更新され続けた日本レコードをみると、どの馬もサンデーサイレンスの血をひいていないことは興味深いところです。

Disco Partner、テイエムスパーダ、ファストフォース、プリモダルクに共通しているのは、Mr. ProspectorNijinskyBuckpasserSecretariat。そして、Northern Dancerをクロスしている点です。
プリモダルク以外は、テイエムスパーダ(Thatch-Thong)、ファストフォース(Nureyev-Thong)もおさえてあります。
芝1200の2歳レコードを記録したフリードも同じような血をおさえているので、スプリントで強力な血というのは、Mr. ProspectorNijinskyBuckpasserSecretariat。このあたりになるでしょう。


この構成をみると、どことなくキングカメハメハっぽさもあります。

 

キングカメハメハ

Kingmamboは、Mr. ProspectorとNureyev(Nantallah(Nasrullah)×Rough Shod)なので、ここにStorm CatStorm BirdNijinskySecretariat)で生まれたのは、世界の龍王ロードカナロア

 

ロードカナロア

キングカメハメハは現役の時にNHKマイルCをレースレコード、日本ダービーコースレコードで優勝しています。
現在、芝1600のレコードはトロワゼトワル、芝2400のレコードはアーモンドアイで、どちらも父はロードカナロア、母父はサンデーサイレンス系の馬です。

 

トロワゼトワル

 

アーモンドアイ


芝2000のレコードはイクイノックスで、イクイノックスはHaloが強い血統をしています。

 

イクイノックス

 


短距離でレコードを記録する血が、自身のもっていないサンデーサイレンス(Halo)と出会うことで、爆発できる型になっている。
そんなふうにも見えます。

 

なので私は、この記事を書きながらなんとなく「31年の凱旋門賞どうだ!」なんて、思いついた組み合わせを架空血統表にしてみたんですね

 

 

POG2024-2025

POG2024-2025seasonは、外国産馬にこだわって10頭選んでいきます。

 

 

 

 

 

①Bonita Miaの2022

【馬名】未定

【性】牡

【馬主】未定(おそらく吉澤ホールディングスになるかと)

【調教師】未定

【生産者】Spendthrift Farm

【父】Into Mischief

【母】Bonita Mia

【母父】Warrior's Reward

【コメント】
Keeneland September Yearling Sale 2023で取引されました。
Yoshizawa Stable Co.と書いてあったので、おそらく吉澤ホールディングスの名義でデビューではないでしょうか(アメリカン〇〇という冠名かな?)
この馬主で生産が外国となると、21年産ではアメリカンチーフアメリカンチケットアメリカンマーチアメリカンランナーなど、走ってくる印象が強いです。
Into Mischiefは2019年~2023年まで5年連続での北米リーディングサイアー。日本の3歳世代では、ソニックスターブシンルディックルージュスタニングアメリカンチーフなどが活躍しています。
母父Warrior's Rewardは2010年Carter Handicap(米G1・
D1400)の優勝馬。17戦4勝で1400~1600で活躍しました。
Bonita Miaの出走歴は見当たりませんでした。
近親にはCarina MiaMr. NanchoMiss MatchLord NelsonMiss LindaとG1馬等が多数います。
3代母Miss Peggyにさかのぼると、仔の多くが父サザンヘイローというのも興味深いポイントです。

http://apps.keeneland.com/sales/k223/pdfs/40.pdf

 

 

②Church by the Seaの2022

【馬名】未定

【性】牡

【馬主】未定(おそらく吉澤ホールディングスになるかと)

【調教師】未定

【生産者】Brereton C. Jones

【父】McKinzie

【母】Church by the Sea

【母父】Harlan's Holiday

【コメント】
こちらもKeeneland September Yearling Sale 2023で、Yoshizawa Stable Co.です。
吉澤ホールディングスというと、やはりケンタッキーダービー6着だったマスターフェンサーの夢の続きをみたいところです。
McKinzieアメリカの生産馬で、Los Alamitos Futurity(米G1・ダート1700)、Pennsylvania Derby(米G1・ダート1800)、Malibu S(米G1・ダート1400)、Whitney S(米G1・ダート1800)とG1を4勝、距離1400~2000で活躍しました。種牡馬としては2021年からの活動のため、今年デビューの馬達が最初の世代になります。
Church by the Seaの出走記録は見つけられませんでした。繁殖牝馬としては、芝重賞馬のHay DakotaSignificant Formを出しており、近親にはZandonがいます。
母父Harlan's Holidayアメリカの生産馬でG1
を3勝しています。距離はマイルから2000あたりで活躍していました。種牡馬としては、Into Mischiefシャンハイボビーの父でもあり、日本ではエスメラルディーナアルビアーノ、母父としてはモズベッロアリーヴォアヴェラーレなどがいます。
McKinziはMr. Prospector4×4、母母Witness PostがMr. Prospector2×3、母父Harlan's HolidayMr. Prospectorが入らない3/4Mr. Prospectorクロス。母Church by the SeaはTerlingua≒Secrettame4×3。仕上がりが早くスピードが伝わりそうです。芝とダートどちらでも楽しみです。

 

http://apps.keeneland.com/sales/k223/pdfs/65.pdf

 

 

Sancyの2022

【馬名】未定

【性】牡

【馬主】未定(たぶん吉田和美様かと思います)

【調教師】未定

【生産者】Canning Downs Pty Ltd

【父】So You Think

【母】Sancy

【母父】I Am Invincible

【コメント】
2024 Gold Coast Yearling Saleで取引されました。バイヤーがKatsumi Yoshidaで、オーストラリア生産となるとおそらく吉田和美様だと思います。
吉田和美様×外国生産馬は気になっていつも追いかけています。昨年だとアッシュルバニパルサンドロナイトPOG指名でした。
So You Thinkニュージーランドの生産馬で、デビューしたオーストラリアでG1を5勝、その後欧州に活躍の場を移しG1を5勝しました。2010年のWorld Thoroughbred RankingではRip Van WinkleCape Blancoと並び中距離チャンピオン、そしてメルボルンカップの成績を評価され長距離チャンピオンに選ばれました。種牡馬としても活躍馬を多数出しています。
母父I Am Invincibleはオーストラリアの生産馬で、D C McKay Stakes(豪G3・芝1100)を勝ち、距離は1000でスプリンターとして活躍しました。自身はG1勝利こそありませんでしたが、種牡馬としてはImperatrizやIn Secretなど60頭以上のステークスウィナーを出しています。
Sancyは13戦4勝しており重賞などで好走歴はありませんが、デビュー戦から3連勝するなど仕上がりの早さがみられた馬でした。
So You ThinkがNorthern Dancer3×4なので、母Sancyが父I Am Invincibleと母母母父WoodboroughにうっすらとNorthern Dancer。父が中距離で母方が短距離、4代母MalahideからHyperion×Son-in-Law(×Donatelloなど)をほそくつないできているのも、スピード一辺倒にならずバランスがよさそうです。

 

catalogue.magicmillions.com.au

 

 

④クリフウォーク

【馬名】クリフウォーク

【性】牝

【馬主】サンデーレーシング

【調教師】池添学厩舎

【生産者】ノーザンファーム

【父】Kingman

【母】イーヴンソー Even So

【母父】Camelot

【コメント】
Kingmanは欧州の名マイラーでマイルG1を4勝、2014年度のカルティエ賞最優秀3歳牡馬と年度代表馬に選ばれています。種牡馬としても優秀で、日本での活躍馬はシュネルマイスター、ほかにも多数の活躍馬を出しています。
イーヴンソーはIrish Oaks(愛G1・芝約2400)を勝っています。近親には活躍馬が多数いますが、伯父にはドクターデヴィアスシンコウキングがいます。
クロスのうるささだけ気になりますが、6/16に新馬戦を勝ったプリティディーヴァも同じように、母がNorthern Dancerが濃くてDanzigのクロス、本馬の母父はSadler's Wells系統、と似ているところが多いので期待しています。名牝Rafhaの良さをあまりいかせていない気もしますが、はたしてどうなるか。

 

 

⑤サンリットアワーズ

【馬名】サンリットアワーズ

【性】牡

【馬主】未定(おそらくチームゴドルフィンだと思います)

【調教師】未定

【生産者】Godolphin

【父】Earthlight

【母】Olive Grove

【母父】Sea The Stars

【コメント】
おそらくゴドルフィン所有馬になるでしょう。
Earthlightアイルランド生産馬でフランスで調教されました。Prix Morny(仏G1・芝1200)、Middle Park Stakes(英G1・芝1200)で優勝し、1200~1400で活躍しました。
Olive Groveアイルランド生産馬で、おそらく6戦2勝の成績でマイルあたりの距離を走っていた馬です。
母父Sea The Starsアイルランド生産馬で、3歳時にG1を6連勝、史上初めて同一年に英2000ギニー英ダービー凱旋門賞で優勝した馬です。Sea The Starsとレースをしてきた相手には、一つ年上のコンデュイットConduit英セントレジャーSt.Leger StakesBCターフBreeders' Cup Turf、キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスSKing George Ⅵ and Queen Elizabeth Stakes)同世代のマスタークラフツマンMastercraftsman(フェニックスSPhoenix Stakes、ナショナルSNational Stakes、愛2000ギニーIrish Two Thousand Guineas、セントジェームズパレスSSt.James's Palace Stakes)リップヴァンウィンクルRip Van Winkle (サセックスSSussex Stakes、クイーンエリザベスⅡ世SQueen Elizabeth Ⅱ Stakes、英国際SInternational Stakes)、フェイムアンドグローリーFame And Gloryクリテリウム・ド・サンクルーCritérium de Saint-Cloud、愛ダービーIrish Derbyタタソールズ金杯Tattersalls Gold Cup、コロネーションカップCoronation Cup、アスコット金杯Ascot Gold Cup)など、(後のG1も含んでいますが)一流馬が多数いました。
種牡馬としてはSea The MoonTaghroodaから始まり、HukumBaaeedEmily Upjohnなど活躍馬が多数おり、母父としてはOnestoEldar EldarovUnquestionable、日本ではテオレーマなどがいます。

本馬は、Urban Sea、Sadler's Wells、DarshaanAhonooraMr. Prospectorがクロスする父母相似な配合で、父のスプリントできる速さとの組み合わせが楽しみな一頭ですが、母父は日本での成績があまりでていないところがどうでしょうか。

 

 

⑥シオーグ

【馬名】シオーグ

【性】牝

【馬主】未定

【調教師】未定

【生産者】Toji Morita

【父】Wootton Bassett

【母】Deirdre

【母父】ハービンジャー

【コメント】
海外でも活躍したディアドラの初仔です。
Wootton Bassettはイギリスの生産馬で、わたしが大好きなGone WestZafonic~Iffraajの系統です。現役時代はデビューから5連勝でG1を勝ちました。
種牡馬になってからはAlmanzorAudaryaKing of SteelUnquestionableなど多くのG1馬を出しています。自身は1200~1400の距離で活躍し、早期から活躍できる仕上がりの早さとスプリントできるスピードがセールスポイントになりそうですが、Wootton Bassett産駒は1000~2400など幅広い距離で活躍をしており、相手の良さを引き出して距離適性も融通がきくように考えられます。秋華賞ナッソーSを勝った中距離の母ですから、マイルから中距離での活躍を期待できそうです。
本馬はMr. Prospector、Nureyev、DanzigThe MinstrelNijinskyをクロスしている父母相似な配合も魅力です。

 

 

⑦シンビリーブ

【馬名】シンビリーブ

【性】牡

【馬主】未定(おそらく藤田晋様)

【調教師】未定(おそらく森秀行厩舎)

【生産者】Don Alberto Corporation

【父】Constitution

【母】Sand Puce

【母父】Footstepsinthesand

【コメント】
OBS March 2024 Two-Year-Olds-in-Training Saleで取引されました。
購入者がHideyuki Moriで森調教師、馬名が「シン」なので馬主は藤田晋様だと思います。
Constitutionアメリカの生産馬で、デビューから3連勝でフロリダダービーFlorida Derby(米G1・D1800)、その後ドンハンディキャップDonn Handicap(米G1・D1800)で優勝しました。種牡馬として初年度からTiz the LawIndependence HallLaura's Lightなど活躍馬を出しています。
Sand Puceはアルゼンチンの生産馬で、Clasico Sibila(亜G2・芝1600)などダート芝問わず複数の重賞を勝ち、マイルを中心に1400~2000の距離で数多くのレースを走った活躍馬でした。
母父Footstepsinthesandは、イギリスの生産馬でアイルランドで調教されました。3戦3勝で英2000ギニーThe Two Thousand Guineas(英G1・芝1600)を勝ちました。レース中に負傷し治療を施しましたがレースには戻らず引退となりました。種牡馬としてChachamaideeShamalganMarianafootのG1ウィナーを出しており、父に似てマイル以下で走る産駒が多いようです。日本では父としてセイウンジャガーズ、母父としてドーブネマテンロウアレスセキトバイースがいます。

Constitutionは、Mr. Prospector4・5×4、Northern Dancer5×5・5、Seattle Slew4×5。
Sand Puceは、Blushing Groom5・4×4、Northern Dancer5×4。
全体として、フォーティナイナー 4×4、Mr. Prospector5・5×5、Blushing Groom5×5、Storm Bird5×5、母父FootstepsinthesandMr. Prospectorをもたない3/4Mr. Prospector。みるからに気性が荒々しそうですが、引っかかる馬は強いということで。
Storm Cat系の繁殖牝馬からはG1ウィナーが4頭出ておりこの馬にも期待です。

 

obssales.com

 

 

⑧ジャスパーディビネ

【馬名】ジャスパーディビネ

【性】牡

【馬主】未定(おそらく加藤和夫様)

【調教師】未定(おそらく森秀行厩舎)

【生産者】Denny Andrews

【父】Frosted

【母】Rocket Reload

【母父】Reload

【コメント】
OBS March 2024 Two-Year-Olds-in-Training Saleで取引されました。
購入者がHideyuki Moriで森調教師、馬名が「ジャスパー」なので馬主は加藤和夫様だと思います。
Frostedアメリカの生産馬で、ウッドメモリアルSWood Memorial Stakes(米G1・D1800)、メトロポリタンハンディキャップMetropolitan Handicap(米G1・D1600)、ホイットニーSWhitney Stakes(米G1・D1800)で勝ちました。American Pharoahと同世代で、ケンタッキーダービーは4着、ベルモントSでは2着でした。
種牡馬としては、Travel ColumnFrosted OverIngratiatingCloudy、日本ではジャスパークローネシラキヌなどを出しています。
ダート戦だけではなく、上記ジャスパークローネのように、IngratiatingとCloudyもまたオーストラリアの芝短距離重賞を勝った馬で、こういったスプリントするスピードと仕上がりの良さがセールスポイントなのかもしれません。
Rocket Reloadはカナダとアメリカのレースに出走し7戦2勝、1000と1100の芝レースで勝っています。
母父ReloadはCanadian Turf Stakes(米G3・芝1600)、Tampa Bay Stakes(米国G3・芝約1700)など
マイルを中心に走っていました。種牡馬としてはCandy Overloadなどがいます。
本馬はUnbridledMr. ProspectorNijinskyStorm Birdでほどよく似ている構成で一番刺激されるのはTapitでしょうか。左回り1400以下でみたいですね。
この記事を書きながら、ふと思ったことがありました。
わたしは、ジャスパープリンスやマテラスカイ、Speightstownが好きですが、中京ダート1400をぶっ飛ばしていく馬に落ち着いているような気がします。ジャスパーディビネはその路線でもいいですよ。

 

 

obssales.com

 


⑨チムニートップス

【馬名】チムニートップス

【性】牡

【馬主】吉田和美

【調教師】杉山晴紀厩舎

【生産者】Winchell Thoroughbreds LLC

【父】Tapit

【母】Speedinthruthecity

【母父】City Zip

【コメント】
Keeneland September Yearling Sale 2023で取引されました。バイヤーがKatsumi Yoshidaで吉田和美様ですね。
③であげたSancyの2022と同じように吉田和美様×外国生産馬の組み合わせです。走る馬が多い同馬主様ですが、POG期間ではなく4歳5歳と少し遅めに活躍する印象もあります。しかし、本馬については仕上がりが早そうな血統にみえました。
TapitはウッドメモリアルSWood Memorial Stakes(米G1・D1800)で勝利しました。肺の感染症、脚の腫瘍、喉の手術などにより、満足なキャリアは描けませんでした。
種牡馬としてのTapitは数多くの活躍馬を送り出し、2014年~2016年には北米リーディングサイアーに輝きました。先にあげたPOG馬の父でもあるConstitutionFrostedStardom BoundEssential QualityFlightline、日本ではテスタマッタタールタンラビットランがいます。母父としても優秀で、Cody’s WishPretty Mischievous、日本ではグランアレグリアデュードヴァンアルーシャリフレイムなどがいます。
Speedinthruthecityアメリカの生産馬で、サラブレッドクラブオブアメリカステークスThoroughbred Club of America Stakes(米G2・D1200)4着、オナーブルミスハンディキャップHonorable Miss Handicap(米G2・D1200)4着、ダービーシティディスタフステークスDerby City Distaff Stakes(米G1・D1400)5着など、18戦7勝をあげています。
母父City Zipアメリカの生産馬で、ホープフルSHopeful Stakes(米G1・D1400)をはじめ短距離重賞を5勝しており、1000~1400の距離で活躍しました。半弟には国立競馬博物館の殿堂入りNational Museum of Racing and Hall of Fameを果たしたゴーストザッパーGhostzapperがいます。種牡馬としてはDayatthespaCatch a GlimpseImprobableなどの活躍馬を出しました。日本ではジッピーレーサーがいます。母父としてはNoted and QuotedBodexpress、日本ではペルアアユティタムパーソナルハイリッケンバッカーなどがいます。
本馬はTapitの母Tap Your HeelsがDr. FagerとIn Realityを続けてきたので、やはりポイントがMoon GlitterがRelaunchの全姉というところでしょうか。期待は大きいです。

 

http://apps.keeneland.com/sales/k223/pdfs/723.pdf

 

 

⑩ラーヴァレイク

【馬名】ラーヴァレイク

【性】牝

【馬主】未定

【調教師】未定

【生産者】Godolphin

【父】Too Darn Hot

【母】Villarrica

【母父】Selkirk

【コメント】
今年デビューしそうなToo Darn Hot産駒は6頭ほど見つけ、それそれ魅力がありどれも推したかったのですが、ラーヴァレイクにしました。
Too Darn Hotはイギリスの生産馬で距離1400~2000で活躍し、Dewhurst S(英G1・芝1400)、Prix Jean Prat(仏G1・芝1400)、Sussex S(英G1・芝1600)で勝ち、2018年カルティエ賞最優秀2歳牡馬、2019年カルティエ賞最優秀3歳牡馬に選ばれています。
産駒にはフィリーズレビューを勝ったエトヴプレ、Moyglare Stud S(愛G1・芝1400)やIrish One Thousand Guineas(愛G1・芝1600)を勝ったFallen Angel、Moet & Chandon Champagne S(豪G1・芝1600)やJ. J. Atkins S(豪G1・芝1600
)を勝ったBroadsidingがおり、初年度から活躍馬を出しDubawiの後継種牡馬として注目を集めています。
母父SelkirkQueen Elizabeth Ⅱ S(英G1・芝1600)を勝ちのあるマイルを中心に活躍した馬で、産駒にはWinceKastoriaNahrainCityscapeThistle Birdなどがいます。
Villarricaのレース内容は見つけられませんでしたが、さかのぼれば3代母がUrban Seaなのでドイツ名門シュレンダーハン牧場のAライン。
Sir Ivor≒Drone≒Halo≒Red GodSeeking the Gold≒Miswaki4×4がいいですね。
POGからは外れますが短距離ならスプリンターズS、中距離がいけるならドバイ。と夢をみたいですね。

 

 

 

 

外国産馬好きなので調べながら書きましたが、結構時間がかかりました。
「セールってどこから見るの? 何があるのよ?」
「なんて書いてあるのさこれ?」
と、こんなかんじで。初めてだとなんでも大変。

 

今年のシンエンペラーに続いてほしい。楽しみです。がんばれ!!

 

 

 

【今回の引用、参考でお世話になったのはこちらです】

  • netkeiba
  • EQUIBASE
  • BLOODHORSE
  • MAGIC MILLIONS
  • KEENELAND
  • OBS Sales
  • breednet
  • THE OWNER BREEDER
  • WinStar Farm
  • 英語版Wikipedia

 

 

速くて早くて

6月16日午前7時。マテラスカイが天へ昇っていきました。


未勝利勝ちはズブくておっつけ。
寒椿賞の頃は伸びのあるストライドで走っていましたが、エンジンのかかりが遅い差し馬。
そこから体が成長し、逃げの名手武豊騎手とコンビを組み、本来秘めていたスピードでより強い走りをみせてくれるようになりました。
ハイライトはやはり2018年プロキオンS。ダート1400で1:20.3は堂々の中央競馬レコードでした。

Gone Westの宿命かわかりませんがなかなか大舞台で勝てず、勝った重賞はプロキオンSクラスターCの2つでしたが、何度も海外へ挑戦し続け見劣らないスピードを見ていると、「ひょっとしたら海外でも、北米ダートでも勝てるんじゃないか」と思わせてくれた一頭でした。

レコードを出した翌年のプロキオンSでは5着でしたが、ラップを見ると

12.3-10.5-10.5-11.0-11.7-12.2-13.0
12.3-22.8-33.3-44.3-56.0-68.2-81.2

2024年6月20日現在の中央競馬ダートコースレコードタイム(3歳以上)は

1000m    56.8   フリード
1200m 1:08.4 ハコダテブショウ

 

このスプリント能力が産駒たちにもしっかり伝わってほしいと願っています。

 

 

 

父にもふれていきましょう。

 

マテラスカイの父Speightstownは、後脚がまっすぐ強く、筋肉質で腰高な栗毛の馬でした。
肩を骨折し3歳後半と4歳のシーズンはレースから遠ざかっていましたが、その後カムバックし2004年にBreeders' Cup Sprintで優勝、そして同年チャンピオンスプリンターの称号を得ました。


種牡馬として多くのG1馬を輩出しました。
Speightstown産駒は、クラシックを勝ち切るようなこれぞ超大物という馬は目立っていませんが、勝ち上がり率の高さからわかるように、早くから短距離を駆ける速さを堅実に伝えるのが魅力で、北米種牡馬ランキングでは2008年~2022年までの間、常にTop20に入っていました。
日本で活躍する競走馬には、モズスーパーフレア、マテラスカイ、リエノテソーロ、ドスライス、エイシンテキサス、スパーダ、フルフラットなどがいます。


日本での後継種牡馬としては、マテラスカイ、フィレンツェファイアが供用されており、2023年の種付け情報ではマテラスカイ…134頭、フィレンツェファイア…93頭と多くの牝馬を集めています。また、門別、南関、岩手で活躍したオールザベストが青森県でスタッドインしています。(オールザベスト…初年度交配料が”Free”、種付け料は無料)

 

父Speightstownの良さが伝われば、早くから活躍できる仕上がりの早さがセールスポイントになるでしょう。
また、以前海外の資料に目を通していたときに「自分の走りができるようになるまで時間がかかる」「自分のベストに走れる型がある」と解釈できるような表現を見た記憶があります。(これはわたしの思い違いかもしれません)

 

短距離ダートでの活躍馬が多い父Speightstownですが、TraversS(D10F)のGolden Ticket、Jockey Club Gold Cup(D10F)のHaynesfieldなど中距離の優秀な馬も何頭かおり、Prix Jean Prat(T1600)のLord ShanakillやHollywood Derby(T2000)Seek Againなど芝での活躍馬もいます。

 

 

最後にオーナーのことも少し。

 

マテラスカイのオーナーは、愛媛県松山市に本社のあるオオノ開発株式会社の大野剛嗣様。Max Racingのオーナーで、モータースポーツの楽しさを若い世代に伝えることを大切にしていた方だったそうです。
残念ながら2022年3月に50歳という若さでご逝去されていますが、マテラスカイが種牡馬になり次の世代に伝えられると知ったときは、オーナーもうれしかっただろうと想像します。