はやい(早い・速い)血には何か共通点があるのではないかと調べ始めました。
芝6F(1200m)の世界レコードは、2017年6月10日アメリカニューヨーク州のベルモントパークで開催されたJaipur Invitational Stakes (G3)で、Disco Partner(55.5㎏)が記録した1:05.67。
現在の日本レコードは、2022年7月3日小倉競馬場で開催されたCBC賞(G3)で、テイエムスパーダ(48.0㎏)が記録した1:05.8。
テイエムスパーダの前は、2021年7月4日小倉競馬場で開催されたCBC賞で、ファストフォース(52.0㎏)の1:06.0。
その前日には、同じ小倉競馬場で天候が小雨の戸畑特別で、プリモダルク(55.0㎏)が1:06.4でレコードを更新していました。
さらにその前は1999年までさかのぼり、1999年7月17日小倉競馬場で開催された雨の北九州短距離Sで、アグネスワールド(57.0㎏)の1:06.5。
芝1200の日本レコードは小倉で更新され続けてきました。
ここに迫る記録としては、2022年9月11日中京競馬場で開催されたセントウルSで、メイケイエールの1:06.2があります。
Disco Partner
Disco Partnerの配合で気になるところは、Moccasin=Thong全きょうだいクロス4×5
さらに、父Disco Ricoの母Round It Offは、Moccasin=Ridan全きょうだいクロス2×4
Nasrullah×Rough Shodは、Blenheim≒Dalmary(Blandford、Goody Two-Shoes、St. Simon、Martagon≒Kendal、Hermit)などが共通しています。
つまりDisco Partnerは、Nantallah(Nasrullah)×Rough Shodがそれぞれ違う仔を通じて繰り返されているのがポイントです。
このRough Shodの配合については、著名なpedigree analystであるAlan Porter氏の記事で「mitochondrial haplotype D1b」に触れて書いてありました。
Whether from Gladiateur, or from another source, Blandford, in the way that some modern humans have neaderthal dna, must have carried the nuclear dna that was optimal for the D1b maternal line,
thus when Blandford recombined with it there was something of a genetic explosion. It’s probable that some kind unique genetic affinity also explains why, even when not crossed back over D1b mares, genetic relatives from the family, such as Sadler’s Wells, Fairy King, Nureyev, Perugino and Yeats, have done so well in combination.
NasrullahとRough Shodの組み合わせ
Nasrullah×Rough Shodを何度か重ね、Northern Dancerをクロスしていた馬といえば、エルコンドルパサーが思い出されます。
今年アメリカで活躍中の、ケンタッキーオークスを制して勢いに乗るThorpedo Annaも、Sadler's Wells・Lear Fan・Stormy Atlanticのラインで、Thong・Lt. Stevens・Moccasinをクロスしています。
シラユキヒメ牝系の中でも、母方においてNureyevとTopsiderのニアリークロス(NasrullahとRough Shodの組み合わせ)が成り立つ例はブチコがおり、その仔らソダシ(コースレコードホルダー)とママコチャ(芝1400日本レコードタイ)は、ともにレコードホルダーです。
そして、1:06.2で駆け抜けたメイケイエールも、サンデーサイレンスとDanehillを後押しするようにNureyevとTopsiderのニアリークロスが成り立っています。
これらの馬たちのはやさと強さに関しても、「Nantallah(Nasrullah)×Rough Shod」の組み合わせから生まれたRidan・Lt. Stevens・Moccasin・Thongらを通じて、遺伝子の揺り戻しが叶ったことで際立つものになったということなのでしょう。
サンデーサイレンスの血
芝1200の世界レコードや、小倉で更新され続けた日本レコードをみると、どの馬もサンデーサイレンスの血をひいていないことは興味深いところです。
Disco Partner、テイエムスパーダ、ファストフォース、プリモダルクに共通しているのは、Mr. Prospector・Nijinsky・Buckpasser・Secretariat。そして、Northern Dancerをクロスしている点です。
プリモダルク以外は、テイエムスパーダ(Thatch-Thong)、ファストフォース(Nureyev-Thong)もおさえてあります。
芝1200の2歳レコードを記録したフリードも同じような血をおさえているので、スプリントで強力な血というのは、Mr. Prospector・Nijinsky・Buckpasser・Secretariat。このあたりになるでしょう。
この構成をみると、どことなくキングカメハメハっぽさもあります。
Kingmamboは、Mr. ProspectorとNureyev(Nantallah(Nasrullah)×Rough Shod)なので、ここにStorm Cat(Storm Bird≒Nijinsky、Secretariat)で生まれたのは、世界の龍王ロードカナロア。
キングカメハメハは現役の時にNHKマイルCをレースレコード、日本ダービーをコースレコードで優勝しています。
現在、芝1600のレコードはトロワゼトワル、芝2400のレコードはアーモンドアイで、どちらも父はロードカナロア、母父はサンデーサイレンス系の馬です。
芝2000のレコードはイクイノックスで、イクイノックスはHaloが強い血統をしています。
短距離でレコードを記録する血が、自身のもっていないサンデーサイレンス(Halo)と出会うことで、爆発できる型になっている。
そんなふうにも見えます。
なので私は、この記事を書きながらなんとなく「31年の凱旋門賞どうだ!」なんて、思いついた組み合わせを架空血統表にしてみたんですね
架空血統表
— Patelin (@Patelin1968) 2024年8月26日
オルフェーヴル×リアリサトリス pic.twitter.com/TjdnQIWDl2